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管理人氷櫻音羽の自己満足小説の置き場所。不定期・亀足更新です。
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あの、紅三日月が俺を照らす。

あの月の夜は右目が痛む。

あの記憶とともに、痛む。
其れは、紅い三日月が、浮かぶ夜の・・・追憶。

「この一族は、滅ぶべきだ」

闇夜からそんな声を、「私」は聞いた。

憎しみに満ちた声だった。

つい、とその声の方に顔を向ける。

すると、声は、闇は、ほう。と笑いその濃度を増した。

「俺が見えるか。餓鬼」

「・・・誰?」

「臆さないか。・・・これは、面白い・・・」

声は闇夜から、生白い手を差し出した。

暗闇から、すい。と生える病的に白い、死人のような手を。

「俺はこの一族を呪う者。・・・厄災をこの一族に呼んだ者だ」

「呼んだ?」

くくっ。と闇夜は嗤った。

「どうだ?餓鬼、つまらなくはないか?この閉鎖された一族。滅んでしまえとは、思わないか?」

白い手が、手招きをする。

その先を目で追った。

つまらないといえば、そうなのかも知れなかった。

外を知らない、この閉ざされた一族、夜を知り奉る夜織一族が。

見上げた先に、あったのは、金色の爬虫類の目。

瞳孔がたてに割れ、それが赤かった。

其れだけではない。紅い瞳孔には、ナイフで裂いたかの様に真横に同色の亀裂があった。

金の瞳に、浮かぶ紅い十字。

一族は其れを、過去、夜織に厄災を招いたものが有していた眼として『厄災の眼』と呼び忌み嫌っていた。

その瞳を有する子供は、稀に生を受けそのたびに殺されてきた。

そして、その瞳は受け継がれる。

『私』はその白い手を取った。



そして、『私』は『私』を捨てて、『俺』になり、『厄災の眼』を継いだ。
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